食を探求するテクノロジー。農がつくるエコロジー。
土を耕し,種を播き,収穫する。来る年も来る年も,豊かな実りをもたらしてくれる大地。しかし,人間が生産性の向上を目指すあまり自然の営みを無視すると,その営みは乱れ,さまざまな弊害が現れることになります。環境に大きな負荷を与えない農業。自然と調和する持続的な生産。北海道というフィールドに,新たな農業の道すじを描くために。「生物環境工学」は,理工学的な見地から「農」と「食」,「環境」を研究する先進的な学問です。

イラスト/三宅 剛(農業工学科・平成7年卒)
Environment(環境を科学する。)
土に触れ,適切に利用する。
土は食料を生産するフィールド。生産に不可欠な空気・水・温度を貯える土の構造と機能を理解し,適切な利用法を学びます。
空を測る。風を観る。雨に学ぶ。
農業は気象に左右され,気象は人間活動の影響を受けます。気象と生物生産,人間活動との相互作用を明らかにします。
水というバロメータを知る。
水は天地を循環し,すべての生物を育んでいます。地域の健康状態をしめす水を知り,その動きや量,質を探ります。
宇宙から大地を観る。現地で環境を測る。
人工衛星がとらえた画像から,土地の状態や農作物の生育状況,農業と自然環境の関わりを研究します。
Technology(食料生産を科学する。)
陸と空のロボットを使う。
たった一人で複数のロボットやヘリコプターを使って,環境にやさしく効率的な生産を行うテクノロジーを研究します。
IT農業を育てる。
作物の生育状態の情報を自動的に計測し,データを無線転送します。研究室にいながら,作物の状態をモニターできます。
Food(食べ物を科学する。)
おいしさと安全性を求める。
おいしくて安全な食べ物を求めて,米やトマトの新貯蔵技術の開発,酸性電解水や通電加熱による食品の殺菌を行います。
食べ残しを追跡する。
食べ残しをごみとして処理するか,資源として再利用するのか。食べ物のその後を追跡し,本当に環境に優しい方法を研究します。